暁型 3番艦 仏の駆逐艦

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駆逐艦 雷

 太平洋戦争期の軍艦を擬人化したゲーム、「艦隊これくしょん」というゲームに雷(いかずち)という、割と可愛い駆逐艦がいます。

「司令官、私がいるじゃない、もっと私に頼っていいのよ!」

 などというセリフをいう事から、だめんず製造機みたいな異名があります。 
 そしてこの艦が「鳥海」に次ぎ、最近気になる娘でございます。

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特型駆逐艦「雷」海戦記 ~一砲術員の見た戦場の実相~
(橋本 衛/光人社NF文庫)

 それというのも、最近彼女(もちろん本物の駆逐艦雷です)についての本を読みまして。
 これが鳥海をテーマにした本に負けないくらい、面白かったのですよ。

 著者は駆逐艦雷の砲術員。
 軍艦は相手を倒すために大砲を撃ちます。
 この大砲を撃つために弾丸を装填したり、相手に当てるために砲の角度や方向などを計算するのが、砲術員の仕事です。
 当時は計算機を使用して砲の軌道を修正していたようですね。
 最近はコンピューターも使用しますし、ミサイルなども砲術科のお仕事だそうです。

 それはともかく、作家として巡洋艦に乗り込んだ鳥海のケースとは違い、こちらは当時現役の海軍軍人の著作。
 戦闘の激しさについては、こちらの方が読んでいて遥かに血の気が引くような思いでした。
 また、日常の水兵さんの生活なども時にはユーモラスに描かれており、鉄と機械の世界ではなく、人々が家族のように接している駆逐艦という世界を知ることができました。

 個人的には夜食についてのエピソードが面白かったです。
 水兵さんが食べる夜食におじややうどん等の他、食糧事情に余裕があったり吉報があるとお汁粉が振舞われるとか。

「確かにあんこは常温でも長持ちするからな」

 と思って読んでいたら、これ軍艦の食堂で小豆から茹でるのですね。
 そうして多くの水兵さんが、出来上がる前につまみ食いに来るとか。
 艦これの雷も、お汁粉が好きなのかもしれません。

 また雷といえば、スラバヤ沖海戦での敵兵救出のエピソードも忘れてはいけません。
 当時の艦長、工藤俊作少佐が同戦で撃沈した英駆逐艦エンカウンターを始め、422人の英国軍人を救出し、オランダの病院船に引き渡しました。
 本文にも当時のエピソードが描かれており、重油だらけになった英国軍人に貴重な燃料を使って体を洗ってあげたり(重油の汚れは水洗いでは落ちないので、ガソリン等を使用します)、館員の余った褌を貸してあげたら喜ばれたり。
 逆に乾パンを渡すと、自分の必要な分だけ取って次に回し、しっかりと残った乾パンを返す英国軍人に、
「さすが紳士の国である。日本人なら欲張って余計にとるだろうな。」
 と、敵国兵の真摯な態度に感心するなど、命のやりとりの中でも生まれる微笑ましいエピソードなどがありました。

 ちなみに雷は、姉妹艦の「電(いなずま)」と共にこのスラバヤ沖海戦の人命救助にあたりました。
 その後両艦共に太平洋戦争で撃沈されますが、海上自衛隊設立後に護衛艦として名前が引き継がれます。
 生まれ変わった護衛艦「電」は、先月4月にソマリア沖アデン湾で75人が乗った漂流船を発見。
 乗船者全員を無事に救出し引き渡しています。

 姉妹揃って多くの命を救う、不思議な縁のある艦ですね。

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[ 2014/05/08 09:00 ] 日記 | TB(0) | CM(0)