江戸好きは江戸しぐさを知らない

「NPO法人江戸しぐさ」という団体があるそうです。
 以下、公式サイトからの引用です。

「江戸しぐさ」は、江戸商人のリーダーたちが築き上げた、上に立つ者の行動哲学です。
 よき商人として、いかに生きるべきかという商人道で、人間関係を円滑にするための知恵でもありました。

 江戸時代は、260年以上もの間、戦争のない平和な時代が続きました。
 その平和な安心な社会を支えたのが「江戸しぐさ」という人づきあい、共生の知恵です。


 そんな仕草があったのか。
 私は江戸時代が好きで、時代小説から、伝聞・史伝、はたまた江戸学的な資料など、多くの作品と出会ってきました。
 そんな私が、今回ここで初めて「江戸しぐさ」という単語を耳にしました。

 うーむ。

 Wikipediaで紹介されている江戸しぐさや江戸しぐさの経歴などをを少し紹介していきましょうか。
(以下、仕草と説明文をWikipediaから引用します。)

・傘かしげ・・・雨の日に互いの傘を外側に傾け、ぬれないようにすれ違うこと。
 小間物屋さんなどの資料(絵など)を見ても、傘はありません。
 当時の人は武士であっても傘(頭にかぶるやつですね)や蓑などを使っています。
 
・時泥棒…断りなく相手を訪問し、または、約束の時間に遅れるなどで相手の時間を奪うのは重い罪(十両の罪)にあたる。
 昔は日照時間を元に時間が決められていた(昼と夜を強引に半分にするので、季節によって一刻毎の実時間が違います)のと、そもそも時計が普及していないので正確な時間の把握は不可能です。
 また小間物、寿司、貸本と、店売りと同じくらいに行商が沢山いた江戸では訪問は基本的には突然で、事前連絡はありません。

・うかつあやまり…たとえば相手に自分の足が踏まれたときに、「すみません、こちらがうかつでした」と自分が謝ることで、その場の雰囲気をよく保つこと。
 状況によって、踏まれた方は気にしないか、
「ばかやろう、気をつけろ!」
 って言うと思いません?

・喫煙しぐさ…野暮な「喫煙禁止」などと張り紙がなくとも、非喫煙者が同席する場では喫煙をしない。
 実際は逆で、煙草盆を出すのがもてなす側のマナーでした。

 そもそもこの江戸しぐさの背景にある、
「薩長藩士が江戸しぐさを知っている江戸っ子を恐れ江戸っ子狩りを行い大量虐殺が行われたが、歴史から抹消されている。」
 というお話があまりにもトンデモです。

 大久保利通などが、
「首都を京都にすると江戸にいる人の仕事がなくなるから、ここを日本の中心としよう。」
 と江戸の方々を思いやっての判断を、彼らの家来が無にする理由が無いでしょうし。

 ・・・という文章を8月くらいから下書きのままほったらかしにしておりましたところ、先日ちょうどよい資料が見つかりました。

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江戸しぐさの正体 教育を蝕む偽りの伝統(原田実)

 本の内容は上記で私が話していたような事をさらに追加・洗練させ、江戸しぐさが生まれた背景を浮き出させ、1冊の本として完成させたレベルで、
「ああ、これならお金を払っても読みたい内容だよなあ。」
 と思ってしまう良作品でした。
 私が言いたい事以上の事がこの本で事足りてしまうくらいです。

 重版待ちをする程に人気があるのでもしかしたらなかなか手に入りにくいかもしれませんが、歴史好きにはオススメの一冊でした。

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[ 2014/10/07 09:00 ] 日記 | TB(0) | CM(0)