愛宕 奮戦記 ~旗艦乗組員の見たソロモン海戦~

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愛宕 奮戦記 ~旗艦乗組員の見たソロモン海戦~
(小板橋孝策/光人社NF文庫)

 愛宕の艦長伝令の高橋武士一等水兵さんの日記をもとに小板橋さんが編集をされたという形の、ノンフィクション作品。
 
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 愛宕と言うと、多分こっちのおっぱいおばけさんを思い浮かべる方が多いと思われますが、重巡洋艦の方ですね。
 って、こっちもそうか。

 記録は真珠湾攻撃から、第三次ソロモン海戦まで。
 伝令を担当する水兵さんの日記なので、艦の情勢に詳しく、当時の出来事がかなりわかります。
 また、撃沈した敵軍艦の戦果など、日記で伝わっている事と実際の記録も並べて書いているので、
「戦闘当時はこういう戦果だとみんな思っていたのか。」
 という読み方ができるのも高ポイントでした。

 今作で一番興味深かったのは、愛宕の艦長伊集院松治大佐(当時)のエピソード。 
 士官に厳しいながらも水兵には優しく、高橋一水が笑いをこらえるのに必死なほど、明るく部下を笑わせるのが好きだったそうです。
 駆逐艦「夏雲」からのご機嫌伺いの信号にも、
「おかげさまでピンピン!」
 と答えてみんなを笑わせたそうです。

 それでいて、華族の名門出身。
 戦場では魚雷回避など、多くの危機を乗り越える優れた判断力を発揮。
 非番で全員が陸上で休息を取っていても一人ずっと艦に残り仕事をこなし、休みの時間になってもスノコ持参で指令室で泊りがけで仕事。
 指令室で寝ている時に見回りをしているうちに間違えて艦長を踏んづけてしまった水兵さんにも、
「水虫臭い足で踏まれてしまったよ。」
 などと、処分をせずに笑って済ませる懐の深さに、多くの部下から慕われたとか。

 私も多くの軍艦記を読んできましたが、ここまで絶賛されている艦長は初めて見ました。
 よほど好かれていたのでしょうね。
 先に紹介したおっぱい愛宕の「ぱんぱかぱーん!」より、伊集院艦長の「おかげさまでピンピン!」の方がインパクトありますし。

 この伊集院艦長、愛宕を降りた後は少将まで昇格したものの、1944年5月に乗っていた海防艦壱岐が撃沈され戦死。
 戦死した事により、最終階級は中将となりました。

 もしも、あと1年ちょっと戦死する事が無かったら。
 もしも、戦争が無く平和な世界であったら。
 伊集院艦長は、また別の人生を送られていたのかもしれないなあと、ふと思いました。

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[ 2015/08/07 09:00 ] 日記 | TB(0) | CM(0)