偏差値57

 先日、数学者の新井紀子さんがラジオに出演されていました。
 新井さんはAI(人工知能)で東大合格を目指すプロジェクト「東ロボくん」に参加されていた事があり、今から8年ほど前から「コンピューターが人の仕事を奪う」と仰っています。最近になって同じ脅威に世間が騒いでいる状況を考えると、先見の明がある方だと思います。

 東ロボくんは2016年に計画凍結となった際、最終的な性能は偏差値57を記録しました。

 大学で例えるといわゆるMARCH。
 明治、青山、立教、中央、法政で、これより上はトップクラスの国立大や、私立なら早稲田と慶應、各種医学部くらいしかありません。
 2016年の時点でこの水準に達していたというのは、驚きですね。

 新井さんが懸念されていたのは、普通なら非常に優秀なこの大学の出身者とAIが同じ基準にある事。
 つまり、それより上の一部のエリートを除いてはAIがすべて仕事をこなせるので、将来的にはエリートが莫大な収入を得る一方、MARCHクラスの大学を出ても時給1000円位の仕事にしか就けないのではないかなという点です。

 しかしそんなAIにも絶対的に苦手な物がありました。
 それは「本文から本質を読み解く」という能力です。
 AIの偏差値が57とはいえあくまでも平均で、国語の成績だけだと偏差値は47程度。
 漢字や言葉の意味は分かっても、文章の本質を読む力がどうしても鍛えられないそうです。

 逆に言うと、それができる人間はAIに仕事を奪われる事は無いのではないか?というのが、新井さんのお話でわかりました。


 ここでちょっと例文を出しましょう。
 私と友人が博物館に行ったとします。
 そこで私がものすごい好きな展示品を見かけて興奮しながら語るも、友人は大して興味が無いのでさっさと次に行きたいとします。

 なんかリアルすぎて自分の胸を大きくえぐっていく文章ですが、続けていきます。

私「・・・・・・で、これがコシヒカリやササニシキのご先祖様、亀ノ尾なんですよ!」
友人「はいはいわかりました先生。次に行きましょう」


 ・・・・・・ああホントリアルだ。リアルな科博でのワンシーンだ。

 で、みなさんはこの私と友人の会話を読んで、トリビアマニア(私)と常識人(友人)とのやりとりを見ながら、
「ああ、面倒くさいウンチク野郎め!」
 とか思うじゃないですか。
 書いている私はもう自分をえぐりすぎて吐血していますが、それでもみなさんはめんどくせえ奴と思うじゃないですか。

 ところがAIはこの文章から真意を読み取れず、先生から教わっている生徒だと判断してしまいます
 人がウンチクマニアを適当にあしらう時に使う「先生」という単語を、AIは純粋に生徒が先生への呼びかけに思ってしまうわけですね。

「この文章から作者の気持ちを答えろ、とか聞かれてもわからねえよ!」

 こんな『国語のテストあるある』が実はAIに仕事を奪われない為に必要な能力になるとは、なんとも皮肉なお話です。

 本当に国語は大事ですね。


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[ 2018/03/07 09:00 ] 日記 | TB(0) | CM(0)