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繰り返される滅び 後編

 昨日の日記で紹介した虜人日記。
 以下、本書で紹介されている「日本が戦争に負けた21の要因」を、ほぼそのまま紹介しましょう。

 その1.精兵主義の軍隊に精兵がいなかった事。然るに作戦その他で兵に要求される事は、総て精兵でなければできない仕事ばかりだった。
     米国は物量に物言わせ、未訓練兵でも出来る作戦をやってきた。

 その2.物量、物資、資源、総て米国に比べ問題にならなかった。

 その3.日本の不合理性、米国の合理性。

 その4.将校の素質低下(精兵は満州、品事変と緒戦で大半は死んでしまった)

 その5.精神的に弱かった(一枚看板の大和魂も戦い不利となるとさっぱり威力なし)

 その6.日本の学問は実用化せず、米国の学問は実用化する。

 その7.基礎科学の研究をしなかった事。

 その8.電波兵器の劣等。

 その9.克己心の欠如。

 その10.反省力なき事。

 その11.個人としての修養をしていない事。

 その12.陸海軍の不協力。

 その13.一人よがりで同情心が無い事。

 その14.兵器の劣悪を自覚し、負け癖がついた事。

 その15.バアーシー海峡の損害と、戦意喪失。

 その16.思想的に徹底したものがなかった事。

 その17.国民が戦いに厭きていた。

 その18.日本文化の確立なき為。

 その19.日本は人命を粗末にし、米国は大切にした。

 その20.日本文化に普遍性なき為。

 その21.指導者に生物学的常識が無かった事。


 1、3、19、21については、主に今でも労働や教育の分野で問題視されています。
 社会の厳しさを教えようと、新入社員に理不尽な事や違法残業を強要させたり。 
 学校教育だと組体操などが挙げられるでしょうか。
 全員毎日休まず働くことを前提に作られる会社のシフトなんかもそうですね。

 6、7は現在の大学でも観られます。
 とにかく結果を出さないと予算が下りないため基礎科学がおろそかになっていますし、仮に結果を出しても営業が上手い人が少ないためにそれで稼げない、結果的に技術が普及しないという事があります。

 10と15、バシー海峡(バアーシー海峡)は、Wikipediaに下記のように説明されています。

 バシー海峡(バシーかいきょう)は、中華民国台湾島南東の蘭嶼(蘭島)に隣接する小蘭嶼(小蘭島)とフィリピンバタン諸島(バシー諸島)最北のマヴディス島との間にある海峡を指す。海峡の幅は約100km。海峡のすぐ東側を黒潮が北流し、その流速は2から3ノットほどである。海峡中間付近の水深は1,500m以上は優にある。(wikipediaより引用)

 大戦時、バシー海峡では10万人の日本人兵が死んだと言われています。
 理由は戦地への移動時、輸送船が敵によって撃沈されたからです。
 まだ武器もとらず、戦地にも向かわないうちに、万単位の人間が死んだわけです。

 アメリカ軍なら、いや普通の軍隊ならば輸送船の最初の何隻かが沈んだ段階で、輸送方法を見直します。
 しかし日本軍は、
「輸送中に沢山の兵隊が死んでしまうなら、さらに多くの兵隊を送れば、生き残って戦地に到着するケースが増えるのではないか?」
 そうやって数千人、数万人の命が魚雷によって散って行きました。

 これはカミカゼ特攻も同じで、敵国に通用しなくなった後も作戦の変更を考えず、
「特攻中に打ち落とされるなら、さらに多くの兵隊を特攻させれば良いのではないか?」
 と判断し、多くのパイロットが散って行きました。

 これは戦争に限らず、日本人には何か失敗があった時に路線変更をしにくい民族性を持っているようです。

 例えば景気政策が失敗した時だって、
「さらに予算を増やして対応する。」
 というコメントを出します。
 


 ただ技術の一断面をみると日本が優れていると思う事もあるが、 総体的にみれば彼らの方が優れている。
 日本人は、ただ一部分の優秀に酔って日本の技術は世界一だと思い上がっていただけなのだ。
 小利口者は大局を見誤るの例そのままだ。
(本文より引用)



 戦争で死んだ人の気持ちを思う、という行為の中に『靖国参拝』というのがあります。
 確かに靖国神社へ参拝へ行くのは首都圏にお住まいの方は楽ですし、わかりやすいですし、美しく見えるかもしれません。
 でも戦死者を弔っているだけで同じ過ちを繰り返さなくなるようになるはずはありません。
 また、戦争を繰り返さないと心に誓うだけでもダメなのです。

 過去の人の失敗談、ひいては日本人のダメな所を掘ってでも調べるというのがイヤな事っていうのは重々承知しておりますが。
 歴史を学ぶという事は、先人達の失敗談を調べるという事でもありますから。
「日本を生きた諸先輩の皆様、失敗談をありがとうございます。犠牲を無駄にしない様に、我々は二度とこういう過ちを繰り返しません。」
 という姿勢で、過去に教わるというのも大事な行為なのではないかなと思うのですが、いかがでしょう?

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[ 2017/08/10 09:00 ] 日記 本の感想 | TB(0) | CM(0)

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