FC2ブログ









「海軍のアイドル」の秘話

2019122701x.jpg
日本海軍ロジスティクスの戦い ~給糧艦「間宮」から見た補給戦のすべて~
(高森直史)

 そろそろ今年最後の読書日記になるでしょうか。
 本日は高森直史さんの「日本海軍ロジスティクスの戦い 給糧艦「間宮」から見た補給戦のすべて」を紹介します。

 高森さんは元海上自衛隊の方で、補給部門のプロフェッショナル。
 退任されてからも海軍史や海軍の料理についての研究をされ、海軍の肉じゃがを世に広めた方です。

 そして海軍にかつて存在した「間宮」は、軍艦は軍艦でも給糧艦(きょうりゅうかん)と言い、食べ物を運ぶ補給艦。

 海軍では、
「食べ物を運ぶ船など不要。資金があるならできるだけ戦艦や巡洋艦など、戦える船を作るべし!」
 というスタンスだったのが、たまたまワシントン海軍軍縮条約という国際的な軍縮政策により大砲を積んだ船が作れなくなり、補給問題に詳しい人たちが苦労して建造プランをねじ込んで作られたのが、この間宮でした。

2019122702x.jpg
艦隊これくしょん 間宮

 私が間宮を初めて知ったのは、ゲーム「艦隊これくしょん」です。
 割烹着の似合う美人な印象で、声は声優界のエース堀江由衣さんが担当されています。
 このキャラがなぜ羊羹を手にしているのかは、追々知る事になります。

 当時、日本海軍の花形は戦艦や空母で、補給をする艦は下に見られていました。
 間宮が建造された時も多くの人が気にすることはありませんでした。
 大砲や戦闘機が出てくる中、食べ物を運ぶだけの船は地味すぎたのでしょうか。

 ところがこの間宮がどこへ行っても人気者。
 戦艦やら巡洋艦やらの猛者たちがこの間宮を見ると、
「間宮が来た。ちょっと連絡艇を出して行って来い!」
 と、艦内で盛り上がるのです。

 それもそのはず。
 軍艦に積んだ食べ物は、質量に限りがあります。
 特に生鮮食料品はいつまでも積んでいられないので、海上での生活が続くにつれて缶詰だけという食事の時もあるわけです。
 そんな中で牛肉や野菜。時代が進むと民間の職人を乗せてラムネや羊羹等を作って持ってくる間宮は、どれだけありがたい存在であったでしょう。
(一流の菓子職人が作った間宮の羊羹は評判が良かったので、上の画像の艦これ版間宮も羊羹を持っているのです)

 もっとも、それでも海軍での扱いは低く、戦後の混乱もあり間宮についての資料はほとんど残っていません。
 そこで筆者の高森さんは当時の関係者に話を聞いてこの本を作ったわけです。

 高森さんの作品(作風)はしばしば当時の背景や補足の為に色々と寄り道をされるので、一冊丸々間宮については書かれていません。
 ですが、この本を手に取る以上は海軍と食べ物についての興味をお持ちの読者であるわけですから、読んでいて興味深い内容であることは間違いないでしょう。
 ご本人が海軍時代の将校から教育を受けていらっしゃった世代なので、かなり色々な関係者から具体的な話を聞かれており、間宮そのものの情報についても非常に充実しています。

 個人的には、高森さんご本人の経歴や苦労話もかなり面白いと思いました。

 元々栄養専門学校を卒業して海上自衛隊に入隊された高森さんは、護衛艦内で食べ物をいかに効率良く管理するかの研究を担当されていた方で、その中でも例えばパラシュートでの投下実験の話は今の常識となるシステムを作ったという点では非常に読みごたえがあるのですが……。

 あまり書きすぎるとネタバレが過ぎますので、ご興味のある方は是非お手にとって頂ければなと思います。

スポンサーサイト



[ 2019/12/27 09:00 ] 日記 | TB(0) | CM(0)