FC2ブログ









ケーキの切れない非行少年たち

2019082201.jpg
ケーキの切れない非行少年たち(宮口幸治)

 この夏、興味深い本に出会えたので紹介致します。
 宮口幸治さんの『ケーキの切れない非行少年たち』という本です。

 作者の宮口さんは精神科医で、以前は少年院で法務技官をされていたり、精神病院で児童精神科医をされていた経歴をお持ちの方で、犯罪を犯した少年や不登校の子供たちを担当、診察されていました。

 活動の中で作者は様々な非行少年に出会います。

 急にキレて暴れだす少年。
 女性および女児に性的犯罪を繰り返す少年。
 殺人をしておきながら自分は優しい人間と自己評価する少年。

 少年院でも刑務所でも、再犯を防ぐプログラムは実施されています。
 認知行動療法という学習を行い、社会に復帰する際には再犯をしないようにするというシステムで、宮口さんもそのプログラムに従い、多くの少年達にプログラムを実施してきました。

 ところが「わかりました」「もうしません」と繰り返す少年がいたり、大人数人で取り押さえないと制止できない暴れ方をする少年達を診療していると、彼らの反応が著しく悪い事に気が付きます。
 こちらのいう事が聞こえているのか、あちらが何を言っているのか、果たして会話が成り立っているのだろうか。
 そして一つの疑問を持たれます。

「そもそも、彼らは世界が歪んで見えているのかもしれない。」

 そこで少年たちに認知能力のテストをすると、驚くべき結果が出ました。
 その認知能力をテストするための手段の一つが、本書のタイトルであるケーキを切るテストです。

 丸型のケーキの絵を用意し、
「これを三等分に分けてください」
 と指示をすると、普通はベンツのマークのような三等分の線を書くのに対し、彼れは下の帯のようなケーキの分け方をしてしまうそうです。

2019082202.jpg

 少し未来の事などを想像して、
「これをしたらどうなるか?」
 という認知能力が発達していないため、とりあえず真ん中に線を入れたり、ケーキのサイズに関係なく分けてしまうとか。
 こういう非行少年は、そもそも一般の人のように物事を物事として理解できる能力が欠けており、

・認知機能が弱く
・感情の制御ができず
・融通が利かない
・不適切な自己評価を行う
・対人関係がうまくいかない


 それにプラスして、身体的な不器用さを持っているというのが、犯罪を繰り返す非行少年によくある特徴なのだそうです。

 ですから、こういう少年に対して再犯防止プログラムはまったく役に立ちません。
 認知機能が弱い、つまり見る力や聞く力が歪んでいる状態では、いくら素晴らしいプログラム内容であっても、そもそもが理解できていないので、効果は無いでしょう。少年側は「わかった」「もうしない」と言わないと出られないので言っているだけで。

 ただしこういう少年達も適切なトレーニングで行動を改善する事が出来、勉強が楽しくなったり、人の事を考えられるようになったり、中には少年同士で勉強を教えあう場面も見られるようになったようですので、改善ができないケースでは無いようです。

 問題は社会がこの実態を認知しているのでしょうか。
 このお話は明日も続けようと思います。
 
スポンサーサイト



[ 2019/08/21 09:00 ] 日記 | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
https://honkedoy.blog.fc2.com/tb.php/2031-1332e5d6