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鉄の棺 最後の日本潜水艦

 夏もすっかり終わっているのに、軍事関連の本を読み続けています。
 特に手記的な作品はそれ自体が面白いのと、巻末に紹介されている本が面白いのとで、芋づる式に買い続けている確変状態。

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鉄の棺 最後の日本潜水艦(齋藤寛)

 本日紹介するのはこの「鉄の棺」という作品。
 潜水艦に乗っていた方の手記(実話)です。

 作者の齋藤さんは軍医(軍艦の中で医療行為をするお医者さん)で、階級は海軍中尉。
 潜水艦の伊五十六潜(正式名称は伊号第五十六潜水艦)に搭乗されます。
 潜水艦は長い航海が続いたり潜水中の生活が続くと体調を崩す人も出てくるので、軍医を一緒に乗せるのです。

 伊五十六潜の就役は昭和19年の6月。
 すでに海軍は主力軍艦を次々に失い、敗北の道を歩んでいる時期です。
(実際、4か月後のレイテ沖海戦にて日本海軍は壊滅状態となります。)

 日本軍の潜水艦が移動できる距離が狭まる中、この伊五十六潜は昭和19年の10月に呉を出発。フィリピン方面へ向かいます。
 そこでアメリカの輸送艦隊(物資を運ぶ輸送船とそれを守る軍艦のグループ)や機動部隊などを発見。
 たった一隻の潜水艦で果敢にも魚雷を発射し、いくつかの船を沈めたりダメージを与えたりと大戦果を挙げました。

 ですが、潜水艦というのは相手に気が付かれずにひっそりと移動しひっそりと攻撃をするのが得意な反面、追いかけられた時に逃げるのが苦手です。
 水中に潜って逃げようとすると、1時間に2ノットが精いっぱい。
 しかもこの時期はアメリカの水上レーダーの性能も上がり、ちょっと海上に顔を出しただけの潜水艦を見つけられるようになってます。

 仮に半日潜ったまま逃げたとして、
「さあ安心だ!」
 と水上に上がってしまうと、あっという間にレーダーで見つかってしまい、駆逐艦なら沈んだ現場から30分程度で追いついてしまうのです。

 そうなると作戦としてはずっと水中に沈んでいるほかにありません。
 でも今とは違い昔の潜水艦ですから、艦内は徐々に酸素が無くなりますし、エアコンもないので気温が徐々に上がっていきます。

 このアメリカ駆逐艦とのやりとりは、これだけで映画にできそうな(後で調べたら映画化されてました)緊張したやりとり。
「潜水艦は生きて帰ってこられるのだろうか?」
 とちょっと心配すらしてしまいました。
 もっとも、作者が生きて帰ってこられたから本になったのですけれども。
 
 戦争に関する実録作品としては主に、

・軍人による軍隊での話
・民間人による民間での話

 の2種類が多い中、比較的民間人に近い軍医が軍隊に所属している話というのは珍しく、しかも内容も非常に面白い一冊でした。

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[ 2019/11/13 09:00 ] 日記 | TB(0) | CM(0)

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