FC2ブログ









歴史の点と点

2020111701.jpg
艦長たちの太平洋戦争 34人の艦長が語った勇者の条件
(佐藤和正)

 本日は『艦長たちの太平洋戦争 34人の艦長が語った勇者の条件(佐藤和正)』を紹介致します。
 夏の終わりごろから毎晩少しずつ読み、先月ようやく読了した本です。
 
 本書の内容はタイトル通り、太平洋戦争時代に艦長経験のある元海軍軍人の回想録です。

 作者の佐藤和正さんはカメラとカセットレコーダーを片手におひとりで全国を回り、4年をかけて聞き取りをされました。
 著者が聞き取りを始めたのは昭和54年から58年。
 当時はまだ現役の佐官や将官といった艦長クラスの人物がまだまだ御存命で、色々話を聴けたようです。
 退役軍人の間で作られる戦友会がまだ残っておりデタラメを書くと抗議が来た時代に制作された分、最近刊行された書物などよりもある程度は信頼できると思われます。
 
 全部読んだ後の感想としては、凄まじい!の一言です。

 著者は51人の元艦長の話を聞き、本書ではそのうちの34人の話が書かれているのですが。
 なんかもうこの方達をひとりひとりクローズアップしてドラマにしても成り立つような体験談ばかりです。

 例えば戦艦伊勢の中瀬泝(なかせのぼる)艦長。
 150機を上回る敵機の攻撃に遭うも、戦闘が終わってみると撃墜した敵機は50機を超え、しかもこちらの損害はなし。
「ベテラン艦長の回避技術が凄くて、一発も当たらなかった。」
 とアメリカ軍のハルゼーが驚いたのですが、実は中瀬艦長は伊勢が初めての乗艦勤務。
 赤レンガ組と言われる海軍省での内勤要員だったのが、現場の人手が足りずに乗ることになったとか。

 しかも回避運動中の指示は「取り舵(左折)」のみ。
 これも特に理由はなく、自分が「面舵」より言いやすかっただけだからだそうです。
 
 このエピソードに限らず、こういう回想録は世の中の多くの事に正解がない事を教えてくれますね。
 ベストの行動をとっても成功しない場合もありますし、その逆もありますし。
 人には目に見えない大きな運命があるのかなと、しみじみ考えてしまいます。

2020091903.jpg

 また、本書には9月に谷中に墓のあった徳川慶喜の孫、徳川熙さん(大尉)も登場。

 呂号第101潜水艦の折田艦長の回顧録によると水雷長の徳川大尉は潜水艦の充電中に見張りをしており、そろそろ潜ろうという所で駆逐艦のレーダー射撃を受けて戦死。魚雷のスペースに遺体を収納しラバウルで水葬されたそうです。
 となると、遺骨は谷中の墓地に収められているかもしれませんね。
 こういう別々の所で得た情報が意外な所でつながると、少し心が高ぶります。

 というわけで、後書きを含めると500ページを超える大変読みごたえのある名作。 
 歴史、特に戦史が好きな方はもちろん、ゲーム『艦隊これくしょん』の提督さんにもおすすめします。

スポンサーサイト



[ 2020/11/18 09:00 ] 日記 本の感想 | TB(0) | CM(2)

こんにちは。
伊勢艦長のエピソード、考えさせられますね。
人生どのように「舵を取る」か迷う場面は多々ありますが、やはり「正解はない」と開き直るしかないんでしょうね(^^;)
[ 2020/11/18 09:57 ] [ 編集 ]

>へろん様
こんにちは、いつもお世話になっております。
コメントありがとうございます。

戦死された艦長の話は当然聞けないわけですが、たまたま直感的に舵を取ったら助かったとか、たまたま爆発に巻き込まれたから逆に助かったとか、本当に世の中分からないものですよね。
[ 2020/11/18 23:16 ] [ 編集 ]

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
https://honkedoy.blog.fc2.com/tb.php/2471-74d1dd00